* 管理人について など *

・管理人・

山下D (mail : メールフォーム準備中 しばらくは掲示板にご連絡下さい)

・廃墟探訪歴・

2004年秋頃より

・使用カメラ・

・Canon 200万画素デジタルカメラ PowerShot A40
 『廃墟写真』のものはほとんどコレで撮影。
 (補正しまくってます)

・Canon 1000万画素デジタルカメラ PowerShot A640
 現在のメイン機。
 たとえ1000万画素でもサイト用に編集するとA40と大差ない。

・Canon AE-1 Program (借り物) レンズなんだったけな・・・

・たまに携帯のカメラ









・ 私から見た“廃墟” ・

『廃墟』という単語を聞いた人のほとんどは、
どちらかというとマイナスのイメージを持つことが多いのではないでしょうか。
そこが『廃墟』になった原因についても考えをめぐらせてみると、
何らかの理由で人が住まなくなり放置された家屋であったり
倒産した会社や旅館であったり、と
マイナスのイメージが多く浮かぶものだと思います。

特に大規模なものや特徴的なものなどの、目立つ物件になってきますと
もう見捨てられたはずの廃墟であっても、更にマイナスの出来事が発生することがあります。
廃墟好きな人間だけでなく、そこを遊び場にする人々、そこに定住してしまう人々など
多くの人間が出入りすることになり、
その結果として、時には破壊や迷惑行為などが行われ
近隣住民の方々や物件の管理者を不安にさせることがあるのです。
こうして『廃墟』はまた、マイナスのイメージを積み重ねることになります。

ある観光地に長年生き残っていた『廃墟』が、取り壊されることになりました。

私は地域住民ではありませんし、管理者でもありませんので
どのような理由で取り壊されるのか、何故今になって取り壊されるのか、
本当の理由を知ることはできません。
ただ、インターネットや新聞などで見聞きした話では
「イメージダウンにつながる」「倒壊の危険性」「侵入者による破壊・迷惑行為」
そういった内容があったように思います。
いずれも住民の方々の生活をおびやかす危険を含む、切実な内容です。

私は、そういった話を知っていながらも
その廃墟の解体を、とても残念に思いました。

実際にその土地で暮らしている住民の方々の意見を
尊重すべきであるのは当然のことかもしれませんが、
果たして廃墟は『イメージダウン・危険なもの』だけなのでしょうか?

周囲から写真を撮ってくつろぐだけの私の行為は
その地域の財政を潤すことはありません。
せいぜい自販機でお茶を1本買う程度です。
正直、観光地としては私は『招かれざる客』だとも言えるでしょう。

でも、私はその土地が好きです。
私が初めて訪れた時から存在する、あの廃墟も好きです。
新しくてキレイで高級そうな物件より、何倍も魅力的に見えます。
あの廃墟があったから、私は何度も訪れました。
そしてその土地のことも好きになりました。
私以外にも、同じような経験を持つ方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。

ある人から見たら 『早く壊して欲しい迷惑な建物』、
私から見たら   『長く残して欲しいスバラシイ建物』。

廃墟だけに限った話ではありませんが、
何故、そんなに大きな違いが生まれるのか
人の価値観というものを私はとても不思議に思うし、とても興味深く思います。

私から見た廃墟とは、それ自体が記憶の塊です。
人から棄てられた後、どんどん形を失っていき
時に破壊されたりもするけれど、
その建物が『生きて』いた時の記憶は、逆に浮き立ってくるような気がします。

私が感じたものが真実である証拠は何一つないけれど、
もう役目を終えている時計や
ある年の8月からめくられることがなかったカレンダー、
丁寧に書き込まれた作業記録、
そしてそれらを飲み込もうとする植物たちも
全てがその建物の在りし日を想い起こさせるのです。

まだ廃墟の写真を撮り始めて日が浅いですが、
『私から見た“廃墟”』がどんなに美しく見えるか、
どんなに魅力的に見えるか、
それが少しでも伝わるような写真を撮っていきたいと思っています。

                                      2005.05